●ダイヤモンド不動産研究所
連載【住宅ローン借入額をシミュレーション】
2020年9月24日掲載
不動産を購入する際、住宅ローンの借入額がいくらなら安心して返済できるのか? こんな疑問に答えるため、さまざまな年収と家族構成で資金繰りをシミュレーションする。今回は、年収200万円の夫と妊娠中の妻(共に20代)というケース。夫の収入だけでは教育資金や老後資金も考慮すると住宅取得は厳しいが、妻も出産後働くのであれば、1600万円以内の物件なら何とかなるかもしれない。(ファイナンシャル・プランナー 菱田雅生)
年収200万円の夫と妊娠中の妻のケースをシミュレーション
今回は、結婚2年目の20代の夫婦、斉藤さん(仮名)から相談が来たと想定して試算する。現在の夫の年収は200万円で貯蓄は100万円。来春に子どもが生まれるので、そのタイミングに合わせて中古マンションでも買ってしまおうかと考えているようだ。
シミュレーションでは、給料などの収入と、住宅ローン返済などの出費を推計して、毎年の「年間収支」と「貯蓄残高」を計算した。今回は、夫の年収は50歳まで年1%の昇給率で増えていき、出産の翌年からパートに復帰する妻の収入は昇給なし。子どもは1人のみ。これで、住宅ローンを安心して支払うことができるのか、今後30年間の家計推移をチェックする。そのほかの細かい前提条件は以下を見てほしい。■シミュレーションの前提条件(年間収支)■
【家族構成】
・夫26歳/年収200万円(50歳までは年1.0%増加、50歳以降は増減なし)
・妻25歳/主婦(出産の翌年からパート収入:年間100万円、増減なし)
【基本生活費】100万円(年1.0%で増加)
【住居費】(購入前)家賃月6万円(購入後)年79万円(ローン返済+保有税など)
【教育費】保育園から高校までは公立、大学は私立文系
【保険料】6万円
【その他出費】10万円(年1.0%で増加)
【初年度年間収支】+6万円
【貯蓄残高】100万円(期待運用利回り年0.5%)
【住宅ローンの詳細】1600万円(諸経費+64万円)のマンションを頭金64万円と住宅ローン1600万円(全期間固定金利1.6%、35年返済)で翌年購入。毎月返済額5.0万円。住宅ローン減税を考慮(控除期間10年で試算)
物件価格は1600万円あたりがギリギリのライン
前提条件が変わればシミュレーション結果も大きく違ってくるので注意が必要だが、上記の前提条件だと、物件価格は1600万円あたりがギリギリか。夫の収入の増加が確実で、妻もパートをずっと続けるのであれば、老後資金も1000万円近くはためていけるはず。
1200万円、1600万円、2000万円の物件を購入したケースをそれぞれシミュレーションしてみると、2000万円の物件を購入した場合、55歳時点での貯蓄はできず、むしろマイナス45万円という状態になる。家計を破綻させないためには、教育費などほかの出費を制限する必要性があることが分かる。
やはり、住宅ローンを完済し、65歳時点の貯蓄額が1000万円程度になるギリギリのラインは物件価格1600万円あたりとなるだろう。
マンション価格ごとの30年後の貯蓄額は?
※グラフと同じ前提条件で物件価格のみ変えて試算
下記に、1600万円の物件を購入した場合の、年間収支と貯蓄額残高をグラフにした・・・
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