●相続会議
連載【不動産相続と土地活用】
2020年09月11日掲載
土地建物を共有持ち分で相続するメリット、デメリットは?
亡父の遺言書を見たところ、父の住んでいた家は私と2人の弟との共有持ち分のかたちで相続するように、との内容でした。どう対処するべきで、どんな専門家に相談するのが良いのでしょう。分かりやすくお伝えします。
共有持ち分って何?
3人の子どもたちで仲良く分けてほしい。そんな想いから、「3人で共有しなさい」という遺言書になったのかと思われます。
共有持ち分とは、複数人で1つの物件(土地、建物)を所有する(=共有する)場合の共有者それぞれの権利の割合を意味します。3人で均等に分けるのであれば、持ち分は3分の1ずつとなります。
共有持ち分にするメリット
父親が住んでいた家を、遺言書の指示どおりに仲良く3人で分け、共有持ち分3分の1ずつとする場合の主なメリットは、以下の2点でしょう。
メリット1:不公平にはなりにくい
土地建物を3人で分けて共有持ち分にし、他の父親名義の財産も同様に3人で均等に分けるのであれば、遺産分割が不公平になることはないでしょう。
これを、1人が土地建物を相続し、1人が預貯金を相続し、残りの1人が株式や投資信託などの金融商品を相続する、としてしまうと、相続後の不動産市況、金融市場の変動によっては、将来の資産価値が大きく変わり、不公平感が生まれるかもしれません。
メリット2:「3000万円特別控除」をそれぞれが利用できる
3000万円特別控除とは、マイホーム(居住用財産)を売ったときに、その所有期間の長短に関係なく、譲渡所得(=簡単に言えば、売却益。儲け)から最高3000万円を差し引くことができる特例のことを言います。
つまり、マイホームを売却して利益が出たとしても、3000万円までの利益であれば、税金はかからないということです。
共有持ち分の場合、この特例をそれぞれが利用できるので、3人がそれぞれの共有持ち分について3000万円特別控除を使えば、最高9000万円までの利益に対して税金がかからなくなるわけです。
父親からの相続で取得した不動産の取得価格は、父親が取得したときの価格を引き継ぎますので、昭和の時代に取得した不動産だと、それなりに利益が出ている可能性があります。相続後に売却することになった際には、それぞれが3000万円特別控除を使えるのは、節税になる可能性があります。
共有持ち分にするデメリット
一方、主なデメリットは、以下5点が挙げられます・・・
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